美白効果などさまざまな美容効果があるといわれる「プラセンタ」ですが、一体何かご存知ですか?
意外にプラセンタの原料や効果について、いまいちよくわからない人も多いのでは?
そんなプラセンタの原料や種類、抽出方法から、プラセンタサプリや美容液での摂取効果、実際の美白力について詳しく解説していきます。
プラセンタとは?
「プラセンタ」とは英語で「placenta:胎盤」という意味です。
美容液などで「プラセンタ」や「プラセンタエキス」といわれるものは、胎盤そのものではなく、胎盤から細胞分裂を促進する成長因子(グロース・ファクター) などの栄養素を抽出したものことをいいます。
胎盤から抽出される成長因子(グロース・ファクター)は、胎児が子宮の中で驚異に成長するために必要とされる栄養成分のことです。
つまり、プラセンタは成長因子などの栄養成分が豊富なため、細胞分裂が必要な細胞に作用し、新しい元気な細胞を作り出します。
また、ガンなどエラーを起こした細胞には作用せず、エラー細胞は増殖させないという研究結果も出ています。
プラセンタの原料は、人間をはじめさまざまな家畜の胎盤が使用されています。
使用される胎盤の種類の数だけプラセンタの種類もあります。
プラセンタの種類
プラセンタの原料は、おもにヒト胎盤や牛、豚、馬、羊などの家畜の胎盤が使用されています。
胎盤から抽出された有効成分(プラセンタエキス)は、プラセンタ注射・プラセンタサプリ・プラセンタ美容液などさまざまなプラセンタ製品に採用されています。
プラセンタの原料となる胎盤には種類があり、それぞれの栄養素や安全性、価格に違いがあります。
ヒトプラセンタ
ヒトプラセンタは、人間の胎盤から、プラセンタの有効成分を抽出しています。
ヒトプラセンタは化粧品や健康食品に採用されることはなく、プラセンタ療法として認定された製薬会社のみが製造を許可された医薬品のみに採用されます。
牛プラセンタ
牛の胎盤は大きく、妊娠期間も280日間短く周期も早いため効率よく、コスト・品質の面で優れていたため、かつては牛プラセンタが多く採用されていましたが、2001年9月に発生した牛海綿状脳症の問題「狂牛病(BSE)」による危険性から、現在は日本国内での製造・販売はありません。
しかし、海外からの輸入品による販売は行われています。
豚プラセンタ
「狂牛病(BSE)」のあとに、牛プラセンタ代わって普及したのが豚プラセンタです。
豚は多産のため胎盤の流通量が多く、コスト・品質面でも優れています。
現在、日本のプラセンタ製品の多くは、この豚プラセンタが採用されています。
ただし、豚は寄生虫や病原菌対策として、薬剤を投与されて飼育されているケースもあり、薬剤残留の不安があるので、豚プラセンタを選ぶときには注意が必要です。
日本SPF豚協会が定めた「SPFプラセンタ」なら、徹底した衛生管理の下で育てられた病原菌を持たない豚から採取された国産豚プラセンタなので安心です。
馬プラセンタ
馬は体温は高く、寄生虫や感染症の影響を受けにくいため、薬剤使用率が低く、安全で良質なプラセンタがとれるといわれています。
しかも、国産の馬プラセンタは、血統付きのサラブレッドを採用しているため安心です。
しかし、馬は牛や豚とは違い、年に1回1頭しか出産できないため、高品質ですがコストが高くなってしまいます。
羊プラセンタ
羊プラセンタは、欧米や欧州では主流となっています。
しかし、羊も牛と同じ狂牛病(BSE)の「スクレイピー」という伝染病があります。
狂牛病(BSE)のないオーストラリアやニュージーランドの羊プラセンタであれば、安全性が高いようです。
海外からの輸入品の羊プラセンタは原産地を確認する必要があります。
海洋プラセンタ
海洋プラセンタは、胎盤ではなく、鮭の卵巣膜を原料としています。
胎盤から抽出するプラセンタとは違い、成長因子(グロース・ファクター)は含まれていませんが、その他の栄養素を多く含んでいます。
厳密にはプラセンタとは別物となります。
植物プラセンタ
植物にも胎盤はありませんが、種子の生育過程で養分が集中する胎座細胞を原料としていて、豊富な栄養素が含まれています。
ただし、海洋性プラセンタと同じように成長因子(グロース・ファクター)は含まれず、厳密にはプラセンタとは別物となります。
プラセンタの抽出方法
胎盤から成長因子などの栄養素を抽出するプラセンタですが、安全なプラセンタ製品にするためには、胎盤を洗浄し、殺菌や滅菌処理を行ってからプラセンタを抽出しなければいけません。
プラセンタ製品は、胎盤の処理方法やプラセンタの抽出方法によって、品質や効果に大きな差が出てしまいます。
代表的なプラセンタの抽出方法は下記の6種類あります。
①凍結融解法
胎盤を急速凍結(冷凍)した後に融解(解凍)して、細胞膜を破壊して内部から有効成分を抽出方法です。
比較的簡単な抽出方法ですが、壊れた細胞からプラセンタの有効成分も流出してしまうため、成分の抽出率が低くなります。
また、あまり高品質なプラセンタを抽出することができないともいわれています。
②加水分解法(塩酸分解法)
胎盤をアセトンで脱脂して、塩酸など強力な酸で細胞膜を破壊してプラセンタの有効成分を抽出する方法です。
③凍結酵素抽出法
「凍結融解法」と「酵素分解法」の利点を組み合わせた抽出方法です。
凍結した胎盤を酵素の力で分解して、プラセンタの有効成分を抽出します。
活性ペプチドや酵素類も破壊しないので、高品質なプラセンタを抽出できますが、高い技術力が必要で、高コストになります。
ヒトプラセンタ注射の「メルスモン」などは、この加水分解法でプラセンタの抽出を行っています。
比較的多くのプラセンタ製品で採用されているポピュラーな抽出方法ですが、塩酸などの強力な酸を使用することで、プラセンタの有効成分を破壊してしまうので、高品質なプラセンタを抽出することが難しいといわれています。
④酵素分解抽出法
胎盤を低温処理した後に、細胞膜を酵素反応させて、プラセンタの不要な部分を分解して有効成分だけを抽出します。
プラセンタ製品で多く採用されている抽出方法です。
⑤分子分画法
特殊なフィルターを通して、プラセンタの有効成分を抽出する方法です。
細胞の破壊がなく、有効成分をしっかり抽出でるので、高品質なプラセンタが抽出できます。
ヒトプラセンタ注射の「ラエンネック」は、酵素分解法や加水分解法と合わせて、この分子分画法も採用しています。
⑥細胞培養法
特殊なフィルターを通して、プラセンタの有効成分を抽出する方法です。
細胞の破壊がなく、有効成分をしっかり抽出できるので、高品質なプラセンタが抽出できます。
現在、おもにプラセンタの抽出方法としては、「①凍結融解法」「②加水分解法(塩酸分解法)」「③酵素分解抽出法」が多く採用されています。
しかし、上記で説明したように「①凍結融解法」「②加水分解法」では、高品質なプラセンタを抽出することが難しい可能性があります。
プラセンタの有効成分と美容効果

ヒト胎盤や豚、馬、羊などの家畜の胎盤から抽出されたプラセンタの有効成分(プラセンタエキス)は、胎児が子宮の中で驚異に成長するために必要とされる成分が含まれているため、美容効果もとてても高いといわれています。
プラセンタの有効成分(プラセンタエキス)
有効成分はおもに「栄養成分」と「成長因子」の2つで構成されています。
プラセンタの栄養成分
プラセンタには美容効果の高いさまざまな栄養成分が含まれています。
・アミノ酸
・活性ペプチド
・タンパク質
・脂質
・脂肪酸
・糖質
・ムコ多糖体
・ビタミン
・ミネラル
・核酸
・酵素
プラセンタの成長因子
成長因子は、「グロース・ファクター」とも呼ばれ、アミノ酸の集合体でタンパク質です。
成長因子には、上皮細胞組織、繊維芽細胞、免疫細胞、神経細胞、肝細胞などの細胞を増やす働きがあり、新陳代謝を促進させ、肌や身体の傷んだ部分を修復する力があるので、エイジングケアや美白効果も期待できます。
特に、動物由来(ヒト、家畜)のプラセンタは、成長因子を含むことが最大の特徴です。
海洋性プラセンタ・植物性プラセンタには含まれていません。
プラセンタの美容効果
プラセンタの有効成分は、さまざまな美容効果があるといわれています。
保湿効果
プラセンタには、アミノ酸が豊富に含まれており、肌のうるおいを保つ天然保湿因子(NMF)の生成を促進するので、高い保湿効果があります。
エイジングケア効果
プラセンタの成長因子には、肌の角化細胞、線維芽細胞を活性化させる力があり、コラーゲンの生成を促進するので、肌のハリ・弾力をアップさせます。
さらに、活性ペプチドやビタミンC、E、ミネラルには抗酸化作用があり、活性酵素を除去して、シミやシワを防ぎ、ビタミンBは、肌細胞を破壊する過酸化脂質を減らすので、肌老化を食い止めます。
肌の活性化とトラブル予防
プラセンタは、末梢血管を拡張させて血行を促進する作用があるので、肌へ栄養や酸素を運び、老廃物を排出するので肌を活性化させ皮膚再生を行い、さまざまな肌トラブルも予防します。
女性ホルモンのバランス
プラセンタには、女性ホルモンのバランスをとる作用があるので、生理痛や生理不順の緩和、PMS(生理前症候群)に効果的いわれています。
さらに、プラセンタは女性ホルモンの影響によってできるシミである肝斑の美白にも有効です。
美白効果
プラセンタには、メラニン色素を生成する酵素であるチロシナーゼの働きを止めて、シミができるのを止める美白効果があります。
そして、プラセンタは厚生労働省から認可されている美白成分でもあります。
プラセンタの摂取方法
プラセンタの摂取方法には、おもに注射、サプリの服用など経口摂取、美容液を塗るなどの塗布の3つの方法があります。
それぞれの摂取方法によって、どのような効果が得られるのでしょうか?
プラセンタ注射
プラセンタ注射は、体内にプラセンタ原液を直接注入するので、一番高い摂取方法といわれています。
美容皮膚科などでプラセンタ注射を受けることができますが、基本的に保険適用外となるため全額自費になります。
1回のプラセンタ注射では効果を得られにくいため、定期的に注射を継続する必要があります。
日本国内で薬事法承認を受けているプラセンタ注射は、ヒト胎盤由来のプラセンタの「メルスモン」「ラエンネック」の2製剤になります。
ただ、ヒト胎盤由来のプラセンタ注射を受けると、献血をすることができません。
プラセンタサプリの服用(経口摂取)
プラセンタをサプリメントやドリンクなど、健康食品によって摂取して、身体の中からプラセンタを作用させる方法です。
プラセンタサプリなどの経口摂取は、血行促進、抗炎症作用があり、免疫力を強化するなど、さまざまな健康効果があります。
しかし、プラセンタサプリなどの経口摂取の場合、アミノ酸やビタミンは吸収されますが、成長因子は消化吸収のときに分解されてしまいます。
プラセンタ美容液を塗る(塗布)
プラセンタを美容液や化粧水、クリームなどで肌に塗布し、浸透させる方法です。
保湿効果が高く、成長因子がでターンオーバーを促進して、シミへの美白効果や肌トラブルの改善が見込めます。
プラセンタの副作用
プラセンタサプリの服用や美容液の塗布による副作用の心配はありません。
プラセンタ注射やサプリの服用での一時的な症状として、女性ホルモンに作用することから、生理の出血が多くなる、生理周期が早まる、妊娠しやすくなるなどの反応があります。
プラセンタ(ヒト胎盤エキス)注射をした人は、献血をすることができません。
献血の際に血液から、狂牛病(BSE)と関連のある「変異型クロイツフェルトヤコブ病(vCJD)」を検査する方法が未だ実用化していないためです。
プラセンタ注射から「変異型クロイツフェルトヤコブ病(vCJD)」の感染事例はありませんが、輸血や臓器移植と同様にヒト由来の臓器から製造されていることから、理論上リスクが否定できないからです。
プラセンタサプリの服用や美容液の塗布などについては、とくに献血制限はありません。
【プラセンタ(ヒト胎盤エキス)注射剤使用者の献血制限について】
■日本赤十字社
■厚生労働省
プラセンタの美白力とは?
プラセンタは、厚生労働省から認可されている美白成分です。
では、プラセンタの美白力とは、実際にどんな美白効果があるのでしょうか?
シミができるメカニズムから、プラセンタの美白力を解説していきます。
シミができるメカニズム
紫外線などの刺激によってメラニン色素が生成され、そのまま代謝されずに、肌に蓄積されたメラニンが沈着し、シミとなってしまいます。
肌を定期的に入れ替えて健やかさを保つターンオーバーサイクルが正常なら、メラニン色素は肌の外へと排出され、シミになることはありません。
しかし、紫外線ダメージや肌炎症などの過度な刺激や、加齢、睡眠不足やストレスによる活性酸素、女性ホルモンの崩れによるエストロゲンの低下などによって、ターンオーバーサイクルが長くなると、メラニンが沈着してシミできてしまうのです。
正常なターンオーバーサイクルは約28日間といわれていますが、40代になると約1.4倍以上の40日まで長くなってしまうといわれています。
美白には、肌のターンオーバーサイクルを正常化させることが有効で、プラセンタには肌のターンオーバーサイクルを整える効果があるのです。
プラセンタの美白力
プラセンタの美白力とは、成長因子と豊富な栄養成分によって、肌のターンオーバーサイクルを正常化させ、メラニンを肌の外へと排出し、シミをつくらないようにすることです。
さらに成長因子には、肌の角化細胞、線維芽細胞を活性化させる力があり、コラーゲンの生成を促進するので、肌のハリ・弾力をアップさせる力もあります。
栄養成分の活性ペプチドやビタミンC、E、ミネラルには抗酸化力があり、活性酵素を除去して、メラニンを生成する酵素であるチロシナーゼの働きを止める美白作用があります。
プラセンタは、ターンオーバーサイクルを正常化させ、メラニンの排出を促進するだけでなく、メラニンの生成自体も抑制することで美白していきます。
さらにプラセンタの美白力は、血行促進や老化予防、女性ホルモンのバランスを保つなど総合的にアプローチして、シミのできにくい肌へと導きます。
プラセンタ注射や、サプリの服用、美容液の塗布などによって、プラセンタの有効成分を摂取することで、プラセンタの美白力を得ることができます。
もっとも効果的な美白方法はプラセンタ注射ですが、手軽な方法としては、シミの気になる部分にプラセンタ美容液を塗り、プラセンタサプリの服用で身体の中からも美白ケアすることです。
プラセンタには美白だけでなく、さまざまな美容効果が期待できますが、プラセンタサプリや美容液を選ぶ際には原産国や製造方法を確認して、信頼できるメーカーのもの購入するようにしましょう。